箱館港の弱点
箱館の港の形は、数百年前から随分変わりました。
一番大きな変化は、倉庫群を効率よく運用するため、港の裏にまで運河が作られ、岸壁などの埋め立てが更に進められ、港の機能が充実して行ったことです。
しかし、そんな発展を続ける箱館港にも、実は弱点があったと思われます。
昔、港が機能する上で、最低限必要なもの・・それは「水」と「食料」でした。
極言すれば、これさえあれば港として最低の機能は発揮できます。後年は、これに「燃料」が加わります。
実はこれは、筆者が色々調べても、何処にも、はっきりとは出てこないことなのですが・・
箱館港は「水」が弱点だったと思われるのです。
「その割には、港としては良港で発展しただろう?」と、逆に皆さんに指摘されそうですが・・。
説明します。
箱館の場合は、前にも述べましたが、地形が陸繋島(トンボロ)で、函館山と渡島半島を結んでいる所(現在の市街地の部分)は、砂州です。
したがって、砂州の部分では土壌が砂で、普通に井戸を掘っても、出てくるのは「海水」ばかりという状況になります。
箱館港がまだ小さかった頃は良かったのでしょうが、大型船が入り、水の需要が増えるようになると、函館山の下の井戸だけでは供給が厳しかったと思われます。
もちろん、港の発展に伴って、人口も増えますので、住民の住居も砂州の方向へと居住地を発展させざるを得ず、「水」の問題は、当時の箱館で社会問題化したと思われます。
ちなみに、昔の箱館付近で、最初に人が住みだしたのは、五稜郭の西側の「亀田」の辺りです。
なぜなら、ここでは生活に必要な「亀田川」の豊富な水が使えたためです。
その後、亀田住民とアイヌとの関係悪化の歴史や、箱館の港としての発展があって、箱館港が徐々に発展していくことになります。
さて、箱館の「水」については、その後、『地蔵町にあった、唯一豊富に湧き出す高田屋の掘り抜き井戸に集まり、これを汲み取った』ということが、「函館市地域資料アーカイブ」の記述にもあります。
また、「亀田川」の支流として、函館湾に注ぐよう設計された「願乗寺川」ができ、その水が使われるようになりますが、疫病などが発生したため、元の水路に戻されることにもなりました。
やはり、箱館は「水」の問題が切実だったようです。
やがて、明治に入ってからは、「元町配水場」が完成して、付近の住民には水の心配がなくなりました。ここは、日本人が設計した最古の配水場ですが、現在でもたくましく可動中です。
最後に、函館観光リピーターさんへの豆知識
前回は、「函館のカニの選び方」について」書きましたので、今回は「函館のカニの釣り方」について書きます。
「えーっ!毛ガニ釣れるのぉ~?」「どの店でぇ~?」と思いましたね。
お店とは、違いますよ。そして、釣れるのは「毛ガニ」ではなく「クリガニ」と呼ばれるもので、場所も函館湾内で釣ります。
「クリガニ」は「毛ガニ」の親戚の様な形をしていますが、毛ガニより小型で、函館では「カニ汁」にして食べることが多いようです。
実は、筆者も昔「新島襄海外渡航の地碑」の辺りで「クリガニ」を良く釣りました。多い時は、半日で数匹釣りました。
※カニは、生きているときは1匹、2匹と数え、商品になったら1杯、2杯と数えるそうです。
そして、数年前でも「緑の島」で、「クリガニ」を息子が簡単に釣りましたので、今でも釣れます。
さて、問題はどうやって釣るかですが・・。
釣り具なんて立派なものはいりません。(専門の、毛ガニ用の漁師さんが使う網の付いた道具とは違います。)
「20mくらいの綿糸」に重りの「小石」を先につけ、その先の方に「スルメの足」をくくり付けるだけです。
「何それ~」と言われそうですが、それだけです。
仕掛けが出来たならば、岸壁に行き、小石をくるくる回して、投げ釣りのように10数m先の海面に「ぽちゃん」と落とし、後は、数分待ちます。
そして、すっと引いてみて、「ぐっ」と手ごたえがあり、綿糸が来なかったら・・「クリガニ」が釣れています。
それを、徐々に「ゆっくり、ゆっくり」引いて行くと、すーっと綿糸が動きますので手繰り寄せます。
すると、餌のスルメの足には「クリガニ」が、バンザイしたような格好でハサミでしっかりしがみついているはずです。
慌てずに、ゆっくり、ゆっくり海中から上げると・・「クリガニ」は釣れます。
釣れた「クリガニ」を扱うときは、軍手があれば安心です。
観光客の方は調理できませんので、キャッチ・アンド・リリースでよろしいかと。
そして、釣りの時期ですが、春からできます。冬でも釣れると思いますが、多分、寒くて辛いですよ。そうまでして、釣るカニではないと思います。
釣り場は、先程の「新島襄海外渡航の地碑」の辺りか「緑の島」辺りが、安全で最適です。
釣り方が原始的なので、釣れた時は多分、縄文人の喜びが味わえます。
釣りをしている姿自体は、ちょっと手持無沙汰ですが、是非「隠れたブーム」にして楽しんでください。